フリゲ2019 あなたが選ぶ今年のベストフリーゲーム コメント


here (※12推) :
  • シンプルなシステム、文字情報のみのUI、そして音声の全てが絡み合って荒涼とした世界で戦っている感覚を想像させてくれた。それでいて語るべき所はしっかりと語り、ゲーム部分で受ける世界の印象を補完してくれる。物語もそれ以外も素晴らしい作品だった。
  • 悲しく、寂しく、美しいゲームをやりたいのであれば、2019年はこのゲームをやるべきだ。
    第11回ウディコン参加作品である本作は、テキストベースのシンプルなアクションゲームです。……なんだそれ、とお思いの方、やればわかります。
    いやまあ、はっきり言って親切とは言い難い作品です。UIはとっつきづらいし、難易度は高いし、物語の表現方法は断片的な上に作家性が高くてわかりづらいし……。小一時間でクリアできる作品の割には異様に敷居が高いです。
    しかし本作、傑作です。少なくとも僕はそう思っています。
    とにかく雰囲気がいいんですよ。物悲しいBGM。斬撃と銃撃の鮮烈なSE。間合いを計り合う足音。極度にミニマルなUIだからこそ音の情報量が凄まじい想像力を広げてくれて、真っ黒な画面の中に果ての無い荒野と、そこで永遠に切り結びあう人間の姿が見えてきて、それが何とも殺伐としてて切なくて……。こういう美しさは、他のゲームではちょっと見なかったものです。
    肝心のゲーム部分も慣れてくれば意外なほどテンポの良いものだと気づけますし、シナリオも読み解く力が要りますけど、全部のテキストを見渡せば、かなり密度の濃い世界観が伺えます。
    それに、ええと、これはネタバレに絡むので詳細には言えないんですが、トゥルーエンドルートがあってですね、その場面であるコマンドを入力するんですよ、そうするとですね。このゲームでいちばん美しい場面が見られるんですよ。僕はあの場面を見た瞬間、この作品を僕の中での第11回ウディコン優勝作品にしたんです。ええ実際の結果は25位だったんですが。
    ともかく、あなたがちょっとした時間で終わる、ちょっと変なゲームを探していて、その中に悲しさと寂しさと美しさを求めているのであれば、このゲームをお勧めします。色々保証はしませんが、もしかしたら忘れがたいゲーム体験が出来るかも知れません。