コメント
- 全てが早すぎたとしか言いようのない作品
コンパク2002年6月の受賞作品、というツクール2000黎明期の作品だけあって演出や消化不良な結末等をはじめ色々と手探り感が見て取れる
だが、ストーリー本筋やテーマは間違いなく2023年現在でも通用するほどの先見性をもった素晴らしい内容。
特に、RPGをやり慣れた人間ほど微かに感じる違和感、普通にやると注意深い人間でないと気付きづらいが二週目だとあからさまな事に気づくある村人の共通点。
そんなメタ的な伏線が綺麗に張られている点は、メタ要素を扱いやすいゲームという媒介を作者が非常に理解している証左だと感じた。
ネタバレになるので詳しく言えないが、それはストーリー本編でも強く感じる。
この物語を表現するのならゲームでしかありえない。
一個人が物語を形とする時、古来から小説や漫画など手が付けやすい媒介で多くがなされてきた。
だが、ゲームとなるとそれこそプログラミングという特殊な技術が必要になる難易度の高い媒介だった。
ツクールシリーズはその高い垣根をぶち壊し、一般人が創作をする際の選択肢にゲームという項目を加え、それによって個人の創作の幅を大幅に広げた。まさにブレイクスルーと言っていい。
なにせ、これによってフリーゲームという文化が根付くのだから。
コンパク入賞作であるこの作品は、ゲームでなくては表現できない物語を考えた創作者が特別な技術もなく手軽にゲームを創作できる、そんなツクールの偉大な力を示す一端であるとも言えるのではないだろうか。
- RPGツクール2000作品。何を書いてもネタバレだけど未だに心に刺さるし印象に残る。そんなゲームです。